道祖神様の下着は何色か。

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或阿呆の東欧旅行①

旅の始まり

 
 
  酷く冷えた1月末のころ──。近くに住む東大生の友人、アチ村君は期末試験がもう終わったので酒を飲みたいと連絡してきた。一方私は試験があと一つ必修の微積分が明日に控えていた。微積分の授業は1度も行ったことがなく教授の顔もわからない程、怠惰を極め、前日にも関わらず全く対策をしておらず、なお試験は普通に勉強しないと落単とのことだった。
 
 しかし、相も変わらず試験を舐めてた私は
 
「明日テストあるけどフルチャンで単位取れるから〜」
 
 と即答し友人の誘いに乗っかってしまったのだ。
 
 友人と酒を飲むと言っても居酒屋など店で飲むのではなく、コンビニで大学生御用達ドリンク「スト缶」井の頭恩賜公園のベンチに座って飲むという貧相なものである。酒を片手に話すことは酒、タバコ、麻雀、女と高田馬場のロータリーで騒ぐ猿達と変わらないのだが、井の頭公園の池と木々に囲まれた美しい自然の中で酒を飲むという行為が馬場のものより些か風流であるように感じ謎の優越感に浸っていたのである。
 
 寒空の下いつものように下賎な話を一通りすると友人のほうから春休みの旅行をもちかけられた。
 
 お互いに授業にも出ず、単位も取れないゴミ大学生だが、今期はフル単しようと一応努力しようと試みたので自分たちへのご褒美としてヨーロッパなど海外に行こうとのことだ。旅行先はとりあえずヨーロッパになり最初はイギリスやフランス、イタリアなど王道なところになると考えていたが、そんな王道なところではつまらないと思い、じゃあどこにするかと悩んだ結果…
 
そうだ東欧、行こう。
 
たしかに東欧はなかなか行く機会がないので学生のうちに行きたいと思ってきたがまさか大学生初の海外が東欧とは…シラフの私は期待と不安の気持ちに包まれていたはずなのだが…
 
まあ酔っ払っていた。浴びるように飲んでいた。
 
目の前に池があり、その日は月が綺麗に出ていたので、ともすれば李白のように水面に映る月をとろうとして二人とも溺死していたかもしれないぐらい酔っていた。
 
 
 その酔っ払った足どりであの時の私達は何を考えていたのだろうか、気がつくとATMから10万円下ろして旅行代理店で1番早く買える東欧行きの航空券を欲しいと頼んでいた。
 
 
 旅行代理店の人は訝しげに対応していたが、お金を持っていることを確認するとすんなりと対応してくれた。そして1週間後に14日の滞在でワルシャワを経由してプラハinブタペストoutの航空券をとってもらった。泊まるホテルなどは初日だけで他は私達で計画することになった。
 
 
ここまで旅行の計画から振込までわずか30分。
 
 
 某KO生、渡〇〇太が女の子をホテルに連れ込むより早く行動出来たのではないか?
 
 
  旅行が決まった後、私は家に帰り勉強しようと思うも家に着くと睡魔に襲われ翌朝までぐっすり寝てしまった。翌日案の定、ノー勉で微積分の試験を挑むことになるのだがかつての知識をフル稼働させ、どうにか解答用紙を埋めることができた。
(微積分の評定は結局Cでした。危ないまた再履科目を増やすところだった汗)
 
 
 試験が終わると開放感とともにすぐに旅の準備をしなければと思っていたが、ダラダラとしていたら旅行前日になっていた。飛行機のチケットは早朝かつ成田空港発の便なので羽田の時以上に早起きをせねばならないのだが、両者ともに『一限行けない行けない病』の患者なので乗れないということを不安に感じていた。その結果お互いに徹夜をすることに決めたが、やはり翌日になっても全く荷造りを始めず、結局荷造りが終わったのは家を出る5分前となった。
 
 
 どうにか荷造りを済ませ二人とも成田空港までなんとか到着しチェックインを済ませることができた。
 
 
 チェックインを済ませると安心感に包まれ、出発まで日本でしか味わえないものを口にしたいとなり、日本らしいものとして一風堂でラーメンを食べ、アサヒスーパードライを飲んでダラダラしていたら…
 
 
 空港職員のアナウンスの声に私達は戦慄する──
 
 
ワルシャワ行きに搭乗される、いおりてゃん様、アチ村様至急搭乗口までお急ぎください』
 
 
 この言葉に私たちはとても焦った。めちゃくちゃ焦った。入試の時に赤本忘れて受験票間違えたときより焦った。空港職員が走って迎えに来て、お急ぎくださいと何度も言われ400mぐらい走らされた。搭乗口には搭乗する飛行機の職員にイライラしながら「Hurry Up!」といわれ、汗ダクダクになりながら搭乗した。
 
 
 
 いやチェックインしたのに乗り遅れそうになるなんて、前代未聞だしこんな調子で2週間やっていけるか?不安だらけの私達の旅がこうして始まったのである──