或阿呆の東欧旅行⑧ ウィーン編-3
東欧旅行 ウィーン編 終
スイーツに満足した夜が明け、昨日行けなかった美術史美術館に行くことにした。
美術史美術館は古代から19世紀末までのヨーロッパ各地の美術品が収容されている。収蔵品の数も然ることながら、なんといっても建物の立派さに目を引かれた。様式はネオ・ルネサンス様式の宮殿のような外観であり、美術館入り口の柱頭はドーリア式、イオニア式、コリント式と古代ギリシアの神殿様式が表現されている。
主な収蔵品はオーストリア、ドイツ、スペイン、イタリア、ベルギー、オランダの各地ハプスブルク家の領土において生み出されたものである。特にピーテル・ブリューゲルの40点のうち12点がウィーン美術史美術館に収蔵され、世界一を誇っている。これはブリューゲルが神聖ローマ皇帝ルドルフ2世のお気に入りだった事もあり、多くの作品がハプスブルク家のコレクションになっていたからといわれている。ピーテル・ブリューゲルは16世紀のフランドル(ブラバント公国、現在のベルギー)の画家で、ネーデルランド絵画で最大の巨匠である。作品40点のうち30点はブリュッセルで晩年の6年間に製作されたといいます。とりあえず主な収蔵品でも載せておくとしよう。
ピーテル・ブリューゲル『子供の遊戯』(1560)
ピーテル・ブリューゲル『雪中の狩人』(1565)
ルーベンス『聖母被昇天』(1618-1620)
ピーテル・ブリューゲル『バベルの塔』(1563)
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ 『ゴリアテの首をもつダビデ』(1606-1607頃)
ヨハネス・フェルメール 『絵画芸術』(1667)
ラファエロ・サンティ 『草原の聖母』(1506)
それぞれの絵にひとつずつ解説するのは大変なので「子供の遊戯」だけしようと思う。
この作品はブリューゲルの初期の代表作である。画には幼児から若者まで幅がある人物とおよそ80種類の遊戯が細かく描き込まれている。おそらくブリューゲルの意図は、単に子供の遊戯を百科事典的に寄せ集めて示すことではなく、遊戯に打ち込む子供の真剣さと、一見それよりも重要な仕事に注ぐ大人の真剣さとを同列に並べることにあったと考えられる。神の目から見れば、子供の遊戯も大人の仕事も重要さでは変わらないということである。逆にいえば、市役所とも思われる大きな建物が子供たちで占められていることは、市政を取り仕切っている大人たちが神の目から見れば子供同然だという暗喩とも考えられる。
開館から閉館までいたが、それでもすべてを鑑賞することが出来なかったので、また行こうと思う。閉館後翌日どこに行くかで迷った。ウィーンから南下しクロアチアやセルビアまで行くか西へ行き、オーストリア西部や南ドイツかに別れたが、ドイツビールをどうしても飲みたいという衝動に駆られ西へ行くことにした。
次回 モーツァルトの生家とサウンド・オブ・ミュージックの舞台 ザルツブルク編 お楽しみに